《特別対談》かまやちさとし日本医師会副会長×ほしほくと参議院議員「生活習慣病を改善して健康な未来をつくろう!」
《 特 別 対 談 》
かまやちさとし × ほしほくと
「生活習慣病を改善して健康な未来をつくろう!」
【対談者】
日本医師会副会長・日本医師連盟副委員長 かまやち さとし(釜萢 敏) 群馬県出身、日本医科大卒、高崎市医師会理事・副会長・会長、群馬県医師会参与を経て平成26年に日本医師会常任理事に就任。令和6年から日本医師会副会長を務めている。小児科。 |
福島県医師会顧問・参議院議員 ほし ほくと(星 北斗) 福島県出身、参厚生労働委員会、参議院運営委員会理事、参東日本大震災復興特別委員会、参自民党国会対策委員会副委員長、党税制調査会幹事、党東日本大震災復興加速化本部事務局長代理、党厚生関係団体委員会副委員長、党労働関係団体委員会副委員長、東邦大卒、旧厚生省医系技官、ハーバード大学公衆衛生大学院客員研究員、元日本医師会常任理事。福島県医師会顧問。 |
(左)かまやち さとし(釜萢 敏)日本医師会副会長(右)ほし ほくと(星 北斗)参議院議員
釜萢:日本医師会では、健康寿命と平均寿命の差を縮めることを目的に、健(検)診データの一元化による生涯を通じた健康管理に取り組んでいます。また、がん、脳卒中、心臓発作等の心血管疾患、糖尿病等生活習慣病などの予防、早期発見、新興感染症、フレイルなどの定期的な健康状態の把握のため、1年に1回、健診・検診を受け、健康意識を高めるとともに生活習慣を見直すことが重要であることを国民の皆さんに訴えています。
星:福島県は、東日本大震災の影響もあり、メタボリックシンドローム該当者や肥満者の割合、食塩摂取量、喫煙者の割合などの生活習慣に関連する指標は男女とも全国ワーストクラスに位置しており、この結果、がんや脳血管疾患、心疾患などの生活習慣病による死亡率も全国ワーストクラスという厳しい状況にあり、生活習慣病で亡くなる方が多い傾向にあります。
福島県民の主な死因の年齢調整死亡率(人口 10 万人当たり)を都道府県別で比較した場合、全がんは全国ワースト 4 位、脳血管疾患は男性ワースト 10 位、女性ワースト 3位、心疾患は男性ワースト 8 位、女性ワースト 10 位となっています。
この要因のひとつとして、県民の生活習慣が関係しています。メタボリックシンドローム該当者の割合は全国ワースト 4 位、肥満者の割合は男性ワースト 6 位、女性ワースト 4 位、食塩摂取量は男女ともワースト 2 位、喫煙率は男性ワースト 1位、女性ワースト 2 位となっており、生活習慣病で亡くなる方を減らすためには、これらのリスク要因となる指標の改善が喫緊の課題となっています。
誰もがすこやかにいきいきと活躍できる笑顔あふれる健康長寿ふくしまの実現に向けて、重点スローガン「みんなでチャレンジ!減塩・禁煙・脱肥満」の下、オールふくしまで生活習慣改善に向けた取り組みを推進しています。
地元新聞社のご協力のもと「減塩・禁煙・脱肥満」に関しシリーズで県民にメッセージを届け、県民に生活習慣病が健康に及ぼすリスクを理解してもらう活動を医師会として行っています。
釜萢:福島県医師会では、受動喫煙対策の一環としてイエローグリーンキャンペーンを全国的に広める活動に力を入れているようですがお聞かせください。
星:令和4年度国民生活基礎調査では、福島県の喫煙率は21.4%(全国平均16.1%)で全国ワースト1位となっておりワースト1位という汚名を返上すべく取り組んでいます。
福島県においては、『2020年日本禁煙学会学術総会福島大会』開催を契機に、大会実行委員会と福島県医師会が立ち上げたアウェアネスカラーのリボン着用やライトアップを行うイエローグリーンキャンペーン『イエローグリーンは、愛する大切な人をタバコの煙から守りたい、あなたの心の色。』は今年で5年目を迎えています。
昨年は、世界禁煙デー・禁煙週間には、日本医師会と各都道府県医師会のご協力のもと、イエローグリーンライトアップ実施の全国キャンペーンを展開してまいりました。
また、市民公開講座の開催のほか、県内プロスポーツチームのいわきFC(サッカー)、福島ユナイテッド(サッカー)、福島ファイヤーボンズ(バスケットボール)、デンソーエアリービーズ(バレーボール)、レッドホープス(野球)に協力いただきイエローグリーンスペシャルマッチなどを企画し、スポーツを愛する家族層への受動喫煙対策を訴えております。
釜萢:少子化対策も全国的な課題となっていますが、星先生は「妊婦にやさしい遠方出産支援事業」の創設に尽力され、福島県では既に多くの市町村がこの事業を採用されているようですが。
星:分娩施設の減少により遠方の分娩取扱施設で出産する必要のある妊婦やその同行者に対して、当該分娩取扱施設までの移動にかかる交通費及び分娩取扱施設周辺の宿泊施設への宿泊費用を助成することで、妊婦の経済的負担の軽減が図られ、安全・安心に妊娠・出産ができ、適切な医療や保健サービスが受けられる環境が実現しています。
釜萢:健康に関することを何でも相談できる、身近にいて頼りになる「かかりつけ医」を持っていただくように日本医師会では訴えています。
かかりつけ医とは、健康に関することを何でも相談でき、いざという時には専門の医療機関を紹介してくれる医師。健診などの機会に、医療機関を訪ね、直接話をすることで自分にあった医師を見つけていただきたいと思います。
星:「かかりつけ医」を持つことは大変重要です。2025年4月から「かかりつけ医機能報告」制度が施行されます。まず、かかりつけ医を受診し、そこから基幹病院の専門外来を紹介してもらう。そして、専門外来での治療が一定程度終了した後には、かかりつけ医に逆紹介を行うという外来医療の流れ・機能分化を推し進めると同時に、地域包括ケアシステムの中で極めて重要な役割であると考えます。県民の皆様に是非、「かかりつけ医」を持っていただきたいと思います。
<画像をクリックすると拡大されます。>